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《 遺言の方式 》

 遺言の方式は、『普通方式』『特別方式』の二つに大別されます。 『特別方式』は読んで字の如く特別な事情があって『普通方式』による遺言ができない場合に 利用する方式ですので、ここでは『普通方式』を主に解説いたします。

 『普通方式』には、『自筆証書遺言』 『公正証書遺言』 『秘密証書遺言』 の3つがあります。 以下にそれぞれの主な特徴と、その比較をまとめてみました。自分の理想にかなう方式を選びましょう。

   主な特徴
自筆証書遺言
(じひつしょうしょ)
 遺言者が自分で筆をとり、遺言の全文・日付を自書し、署名、押印をすることによって作成する方法です。 それぞれの要件は非常に厳格で、ワープロで作成したり、日付を年月日までが特定できるように記入しなかったり(例えば「平成13年7月吉日」は不可)した 場合には無効なものとなってしまうので注意が必要です。筆記用具や用紙には特に制限はありません。なお、執行のため裁判所の検認が必要となります。 (検認については Q13 参照)
公正証書遺言
(こうせいしょうしょ)
 遺言者本人の口述に基づき、公証人が遺言書を作成する方法です。 公証人が遺言者の口述を筆記し、これを遺言者および2人の証人に読み聞かせ、または閲覧させます。その筆記が正確なことを承認した後、 遺言者・証人が各自署名・押印し、さらに公証人が方式に従って作成した旨を付記して作成されます。適格で完全な遺言書を作成できる代わり、 それなりの費用が必要となります。
秘密証書遺言
(ひみつしょうしょ)
 遺言の存在自体は明らかにしながら、その内容は秘密にして遺言書を作成する方法です。 まず、遺言者が遺言書に署名・押印し、その遺言書を封じ、遺言書に押した印鑑で封印します。それを公証人1人および証人2人の前に提出して、 自己の遺言書である旨および住所・氏名を申述します。さらに公証人がその日付および申述を封紙に記載した後、公証人・遺言者・証人が各自署名・押印 することによって作成します。遺言書を封印してから公証人へ提出するので、内容に関しての秘密は守られる反面、その内容が不適格であるために 結局無効となってしまうといった恐れもあります。なお、執行のため裁判所の検認が必要となります。


 * 「普通方式」各遺言の比較
普通方式 証人・立会人筆者 メリットデメリット
自筆証書遺言 不要本人遺言を秘密にしておける.
費用が少なくて済む
発見されなかったり
変造される恐れがある.
方式・内容が不適格な恐れがある
公正証書遺言 証人2人以上公証人紛失・変造等を防止できる.
適法な遺言が作成できる
費用がかかる.
遺言を秘密にできない
秘密証書遺言 公証人1人
および
証人2人以上
誰でもよいが
本人が
望ましい
変造等を防止できる.
内容の秘密が保てる
証人等の立会いが必要.
内容が不適格な恐れがある

 * 参考までに「特別方式」
特別方式 主な特徴
一般緊急時遺言 疾病その他の事由によって死亡の危急に迫った者が遺言する場合の方法。
難船危急時遺言 船舶遭難の場合において、船舶中にあって死亡の危急に迫った者が遺言する場合の方法。
伝染病隔離者遺言 伝染病のため行政処分によって交通を絶たれた場所にある者が遺言をする場合の方法
在船者遺言 船舶中にある者が遺言する場合の方法。

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