→ 第10条 国民の要件

第2章 戦争の放棄

第9条 【戦争の放棄、軍備及び交戦権の否認】

 第1項 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、 武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

 第2項 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。 国の交戦権は、これを認めない。


解説

 本条は、1項において戦争の放棄を、2項において軍備及び交戦権を否定し、憲法前文で掲げた平和主義を具体的に宣言しています。  世界大戦という過去の歴史的な反省と、唯一の原爆被爆国という悲惨な経験に基づくものであり、 徹底した非武装主義を宣言している点が日本国憲法の特徴でもあります。  しかし、自衛隊の存在や、日米安全保障条約(*1) などに関連して、 今日でも憲法9条をめぐって激しい議論がなされていることは周知のとおりです。
 1項では、 「 国際紛争を解決する手段としては 」 戦争を永久に放棄するとしていますが、 これは侵略戦争(*2)を放棄したものであり、自衛戦争(*3)を行う権利までを放棄したものではないと考えられています。
 2項では、1項の侵略戦争を行わないため、 「 戦力 」 を 「 保持しない 」 としていますが、 1)一切の戦力の保持を禁止したものなのか、それとも 2)自衛のための最小必要限度の自衛力の保持は許されるのか  といった議論がなされています。 この点につき日本国政府は、自衛のための最小必要限度の自衛力の保持は可能であると解釈し、 自衛隊は必要最小限度の実力であって戦力には該当しないという立場をとっています。

 *1 日米安全保障条約その他の防衛政策については、 防衛省のサイト→防衛省、自衛隊について→防衛省の組織、制度、施策→わが国の防衛政策を参照して下さい。
 *2 自国の勢力を拡張するために他国に対して武力侵攻を行うような戦争。
 *3 他国から武力攻撃を受けた場合に自国を防衛するための戦争。

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