困難な事例
■ 自分では難しい事例もあります。
登記簿から抵当権を消すだけですが、自分では難しい事例もあります。
最も難し事例は、休眠担保権と呼ばれる抵当権である場合です。
休眠担保権の抹消
何十年も前に登記された抵当権を抹消したいけど、抵当権者として登記された会社が
解散してしまっているとか、関係者に連絡が取れないとか、また抵当権者が個人である場合は、
その人が誰なのか、どこにいるのか、はたまた生きているのかすら分からない、
といったことがあります。
明治、大正の時代や、昭和初期に設定された抵当権などです。
このような抵当権を、休眠担保権と呼びます。
休眠担保権は、債権額が数十円~数万円といった少額な場合が多いですが、
だからといって勝手に消すこともできません。
やはり抵当権者と不動産所有者が共同で登記を申請する必要があります。
しかし、多くの場合、抵当権者がどこの誰なのかすらわからない、
といった場合がほとんどです。これでは、抵当権を抹消するのに、
なんとかして抵当権者を探し出すしかありませんが、そのような捜索は、
テレビで公開捜査でもしなければ、困難でしょう。
そこで、法律は、このような場合に対処するため、
休眠担保権の抹消方法を別途規定しています。
これにはいくつかの方法があり、例えば、返済の証明ができる領収書などがある場合や、
供託(国に預けて返済と同じ効果を受ける方法)を利用する場合、
また除権決定という裁判所の手続きを利用する方法などがあります。
しかし、この休眠担保権の抹消方法には、いくつかの要件があり、
その要件をクリアするのはなかなか容易ではありません。
何十年も前の領収書を持っている人はほとんどいないでしょうし、
借金を供託するにも、利息や損害金の計算もしなければならず、
場合によってはそれなりの金額になってしまうこともあります。
そもそも、抵当権が付いているからといって、実際にお金を借りたのかも分かりません。
そのため、場合によっては「抵当権を抹消せよ」とする判決を求めて
裁判をする方が簡便なこともあります。
いずれにせよ、一般の方が自分で行うのは難しく、
司法書士などの専門家に依頼するべきでしょう。
自分でいろいろやってみて、結局挫折したり、
方法が間違っていたため抵当権抹消ができなかった、といったことも実際あることです。