相続登記の手続きを分かりやすく解説。基本的な相続登記手続きは自分でできます! 相続登記申請書ひな形も。ご利用は無料です。

困難な事例

困難な事例 一覧へ戻る

相続人中に、行方不明の者がいる場合


 遺産分割は、相続人全員が参加して合意をしなければなりません。 生死も分からない行方不明者だからといって、その者を除いてされた遺産分割の協議は無効です。 相続人の中に行方不明の者がいる場合は、家庭裁判所へ不在者財産管理人の選任を申立てる必要があります。 家庭裁判所によって選任された不在者財産管理人が、不在者の代理人として、家庭裁判所の許可を得たうえで、 遺産分割協議に参加することになるのです。 なお、不在者とは、民法25条で「従来の住所又は居所を去った者」とされており、 帰ってくる見込みがない者のことを言います。必ずしも行方不明であったり、 生死が不明であることを要するものではありません。

 不在者の生死が、一定の期間明らかでない場合は、その者を死亡したものとみなす制度もあります。 これを「失踪宣告」と言います。「不在者の生死が7年間明らかでないとき」もしくは「戦地に臨んだ者、 沈没した船舶の中にあった者その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者の生死が、その危難が去った後1年間 明らかでないとき」は、家庭裁判所へ失踪宣告を申立てることが可能です。失踪宣告が認められた場合は、 その者の相続人が、その不在者に代わって遺産分割協議に参加することになります。

   なお、戸籍実務上、高齢者で所在不明の者について、一定の要件の下に死亡の蓋然性が高いと判断される 場合には、市町村長が法務局長の許可を得て、職権で死亡を原因として戸籍から消除する取扱い (昭32.1.31民甲163民事局回答)があります。しかし、これは戸籍整理のための行政措置であって、 法的な効果は生じません。よって高齢者消除の記載によって相続の開始を認定することはできない (松山家審昭42.4.19)とされています。 そのため、相続登記をするには、あらためて失踪宣告等により死亡とみなされる日が 戸籍に記載された後でなければ、その戸籍を相続を証する書面とすることはできないとされていますので、 注意して下さい。(昭32.12.27民三1384民事局第三課長事務代理電報回答)


↑ PAGE TOP