7.戸籍,住民票等を集める
■ 戸籍を読むコツは、根気です。
相続登記で一番面倒な作業はこの戸籍等を集めることです。
戸籍を取るだけだから簡単なんじゃないの? と思われるかもしれませんが、
単に被相続人が死亡した旨の記載のある最新の戸籍を取得すればOKというわけではないのです。
戸籍は、結婚したり、転籍をしたりなどして、何度か新たに編成されることがありますが、
この新しく作られた戸籍には、従前の戸籍に記載されていた事項がすべて記載されるわけではないため、
被相続人の相続関係を全て明らかにするためには、
従前の戸籍まで追って集める必要があるのです。
例えば、数回の離婚歴があり、結婚するごとに子供を設けていても、
その間の履歴が載ってこないこともあります。
この場合、その子供にも相続権がある可能性があるため、足りない戸籍があると法務局は相続登記を受け付けてくれません。
実際には、被相続人が子供をもうけることができるようになる10歳くらいからの戸籍が
全て必要になるとされていますが、明確な基準はないので、
被相続人の出生からの全ての戸籍等を集めましょう。
その他、相続人が相続開始当時に現存していたことを証するために、
各相続人の現在の戸籍や住民票も必要になります。
また、登記上の被相続人の住所と死亡時の住所が一致していない場合は、
住民票の除票や戸籍の附票を取得して、
死亡時の住所、登記簿上の住所及び本籍との
つながりを証明する必要もあるので注意して下さい
(ただし、登記簿上の住所と、最後の本籍がたまたま一致している場合は不要です)。
戸籍の集め方
まずは、被相続人の最後の本籍地の役所で、同人の戸籍、改製原戸籍、除籍の全てを取得します。
ここに出生から死亡までのすべての戸籍等が存在すれば万々歳です。
なければ、転籍等してきた先の本籍地を管轄する役所に戸籍等を請求することになり、
以後同様に出生まで追っていくことになります。
遠方の場所であれば、郵送でも取得できるので、管轄の役所に問い合わせて取得するようにします。
なお、被相続人の登記簿上の住所と死亡時の住所が一致していない場合は、
住民票の除票や戸籍の附票も取得して、住所のつながりがつくように証明書を取得しておきましょう
(登記簿上の住所と、最後の本籍が一致している場合は不要です)。
相続人の現在の戸籍及び住民票があればそれも取得しておくこともお忘れなく。
戸籍や住民票等の証明書は、1通300~750円くらいの費用がかかるので、
現金もある程度用意して行きましょう。
複雑な相続関係の場合
実際に戸籍を集めていくと、単純だと思っていた相続関係が、
思わず複雑だったことを知ることもあります。
何度か離婚歴があって、いままで聞いたこともなかった子供が
他に存在したりということはよくあることです。
しかも、その子が亡くなっており、そのまた子供が相続権を持つこともあります。
こうなってくると、あやふやなまま相続登記を申請して、却下されてしまったり、
逆に間違って登記が受理されてしまい、後に無用のトラブルを招くなどといったことも考えられます
(そもそも有効な登記といえませんが)。
過去には、相続人の特定を誤って、相続税申告の修正が必要となってしまったことから、
多額の加算税や延滞税がかかってしまったケースも実際にあります。
ちょっと複雑で手に負えないと思ったら、司法書士等の専門家に依頼することも検討しましょう。
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