遺産分割協議の手続きを分かりやすく解説。遺産分割協議のやり方、預貯金の相続や不動産の名義変更にも使える遺産分割協議書の書式もあります。ご利用は無料です。

遺産の範囲は?


■ 遺産分割の対象にならない財産もあります。

 遺産とは、被相続人の財産に関する一切の権利と義務のことを言います。 現金、預貯金、有価証券、不動産から借金まで、一切の権利や義務です。 ただし、中には遺産分割の対象にならないものもあるので注意して下さい。

遺産に含まれないもの

1.祭祀財産
 系譜、祭具、墳墓などの祖先祭祀のための財産は、通常の財産とは異なり、 祖先の祭祀を主宰すべき者が承継するとされています。 祭祀主宰者は、①被相続人の指定、②指定がない場合には慣習に従い、 ③慣習が明らかでない場合には家庭裁判所の審判で決まります。 なお、祭祀の承継者が決まっていない場合に、相続人全員が合意をして決めることは可能です。
2.遺族年金、死亡退職金、受取人が被保険者以外の者である場合の生命保険金
 遺産には含まれませんが、判例は、死亡保険金請求権に関して、 保険金受取人である相続人とその他の共同相続人との間に生ずる不公平が大きい場合は、 特別受益に準じて持ち戻しの対象になりうるとしています(最決平16.10.29)。
3.身元保証、信用保証
 身元保証は、個人的信頼関係に基づく契約であるため、相続性が否定されています。 また、信用保証(根保証)についても、保証人が予想外の負担を負う危険性があることから、 限度額及び期間の定めがない場合には、特段の事情のない限り保証人の死亡により終了し、 相続人に承継されないと解されています。 なお、貸金等根保証契約において保証人が死亡した場合は、 直ちに元本が確定し(民465の4三)、保証人の死亡前に発生して具体的に存する主債務については、 相続人が保証債務を承継することになるので注意が必要です。
4.代理、定期贈与、使用貸借、委任、組合など、相互の信頼関係を基礎とする契約
 このような相互の信頼関係を基礎とする契約においては、 契約上の地位が当事者の一方又は双方の死亡によって消滅し、相続人には承継されないとされるものが多いです。

 なお、権利の帰属先を明らかにするために、 あえて遺産分割協議書の中に記載するのは構いません。

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