遺産分割協議の指針
■ 誰がどの遺産を取得すべきか、柔軟な話合いが重要です。
相続財産の内容が判明し、相続人とその相続分が特定できたら、
いよいよ遺産分割協議が開始します。
前述のように、相続人の相続割合は、民法で決められており、特別受益や寄与分などといった事由により、
一定の修正が加えられ、具体的な相続分が決まります。
遺産分割協議においては、相続人全員が合意すれば、
この相続分と異なる割合で自由に遺産を分けることができます。
例えば、ある相続人の取り分をゼロとするような分割も可能なわけですが、
遺産分割協議が円満に進むよう、法律で決められた相続分をある程度考慮し、
公平な協議がなされるようにするのが望ましいといえます。
民法は、遺産分割の指針として、
「遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、
心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする」と定めています。
特別受益や寄与分といった事由を考慮すべきことは当然ですが、他にも、
各相続人の財産や生活の状況に応じた柔軟な協議が求めれます。
例えば、遺産の中に、居住用の不動産がある場合、居住用の不動産については現に居住している者の生活を考え、
その者が取得できるような分割協議をすべきです。
また、会社を経営していたとか、工場をもっていたような場合、
これらに必要な営業用の資産はなるべく分散しないで、
その事業を継ぐことになる者が一体として取得できるような配慮が必要でしょう。
同じように、農地や農業用の機械などがある場合も、農業を継ぐ者が一体として取得できるよう配慮すべきです。
遺産を分散しないで、特定の遺産は、できるだけ一括して特定の相続人が取得できるようにするため、
他の相続人には有価証券や現金を多めに分割したり、
代償金を支払うなどの方法で、
遺産分割を円滑に進めることができるように話し合いを行うのが、公平の原則にかなっているといえます。
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