遺産分割協議の手続きを分かりやすく解説。遺産分割協議のやり方、預貯金の相続や不動産の名義変更にも使える遺産分割協議書の書式もあります。ご利用は無料です。

遺言書がある場合


■ 遺言書どおり分割しても、困ることもあります。

 遺言書がある場合、遺言した人の最終の意思を実現させてあげるのがいいのかもしれません。 しかし、事業用の遺産を、事業を承継しない人が取得したり、 管理できない又は活用できないなど不要な財産を取得して相続人が困ったり、 かえって相続人間で争いがおこったりすることも考えられます。 そのような場合は、遺言書と異なる遺産分割協議が可能な場合もあります。 その要件は、遺言執行者が選任されているかどうかで変わります。

遺言執行者がいない場合
 遺言がある場合でも、相続人全員の同意があれば、 遺言と異なる遺産分割協議をすることも可能です。 なお、遺贈がある場合は、受遺者の同意も必要になります。

遺言執行者がいる場合
 遺言執行者がいる場合、相続人は遺産に対する管理処分権を失うため(民1013)、 遺言執行者は、相続人から遺言の内容と異なる遺産の処分を求められても、これに応じる必要はありません。 ただし、遺言執行者の側から、相続人全員の求めに同意して、 遺言と異なる遺産分割協議を経たうえで遺産処理を行うことは可能と解されています。 よって、遺言と異なる遺産分割協議を行う場合で、遺言執行者がいる場合は、 この遺言執行者の同意を得たうえで遺産分割協議を行うことが求められます。

 なお、遺言書を作成した人は、もしかしたら弁護士、司法書士や税理士などの専門家に相談して、 不動産登記がスムーズにできたり、税金がかからないように考えて遺言書を作成していることも考えられます。 遺言書と異なる遺産分割協議をしたことによって、後々困ることがないよう、慎重に検討する必要があるでしょう。 後で、やっぱり遺言書通りに分割すればよかったとなっても、特に不動産がある場合は、 登記や税金の関係でやり直すことは難しくなります。

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